本染め職人による伝統を継承する|株式会社伊藤染工場
三代目のひとりごと
2009年9月4日
染め物の道具のお話☆
今日は、染め物の道具のお話です。
まず、角棒に釘がたくさん打ち込まれている棒、これを『張手』(はりて)といいます。(下記の写真)木製の棒の端には穴が開いておりそこにロープを通すようになっています。
これは染める前の反物の両端をこの釘にさして生地を引っ張る道具です。一般には張手といいますが、張木(関西地方)はりてん(岐阜)ともいいます。
糊置きした後の生地や洗い上げた後の生地を干す時に、この張手を使うんですよ。
次に竹ヒゴの先に針の付いた棒です。(下記の写真)これは『伸子』(しんし)といいます。生地の巾を出すために使用する道具です。
主に竹を使用し伝統的な染色加工には欠かせない小道具なのです。竹ヒゴの先端に針が付いていて、生地の巾に沿って刺していきます。
最近では、グラスファイバーのものも出回っていますが、我社では竹製のものを使っています。さらに染め物の染料に入れて熱を加える時に使うものは、鉄製のものもあるんです。我社の染め物にはこの鉄製のものも欠かせません。
その他にも、染め物ならではの道具達がたくさん有りますがまたの機会の紹介します!!
伊藤染工場では昔から道具に魂が宿ると伝えられ、1月15日の小正月には道具の神様に重ね餅をお供えして、一年の仕事の無事を祈願するんですよ。
道具を大切にする心を忘れず、感謝の気持ちで仕事をしていきます。