丁寧な仕事
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共に感動できる仕事を
お客様の声に耳をかたむけ、その言葉の先にある、大切な想いを感じるところから伊藤染工場の仕事が始まる。
想いを感じて浮かび上がったデザインが、職人の手を経て布の上に糊で描かれる。染めの工程で無色の布に、染料の一色一色が刷毛にのる。時には繁盛を願い彩り鮮やかに、時には伝統の歴史を厳かに。誰が使うものなのか、どんな人に贈られるものなのか、この染物を手にした人とともに感動できる仕事がしたい。
私たちは、ひとつひとつの工程の中で、手にしたこの布に思いを染める。
-糊置き-
もち米で作った糊に防染剤を入れ糊置きをします。この工程で染まらない白い輪郭や文字をつくります。デザインをより美しく仕上げるためにも丁寧に手早く作業します。糊置きには、生地にデザインの型紙をのせて、生地の白く抜きたい部分に糊をヘラで置く方法と、円錐形の筒袋で下絵に沿って文字や模様を描く筒引きという方法があります。糊置きをした後は、糊を定着させるために表面におがくずをかけたり、生地の裏から水糊を刷毛で引き糊を生地に染み込ませたりします。
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硫化染めの糊置。糊置きしたデザインがくっきりと白く抜かれ、濃い地色とのコントラストが鮮やかにでます。
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筒引きは、下絵にそって手書きで糊を置きます。大漁旗のように多色で、細かな表現が必要なデザインのものに使います。搾り出す加減は、やはり職人としての経験が必要です。
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糊を定着させるために、表面に細かいおがくずをかけて屋内で乾燥させます。(写真)おがくずを使わずに、生地の裏から水糊を刷毛で引き糊を染み込ませる場合もあります。
-染め-
染め方には、染料の中にどっぷりと浸ける「硫化染(りゅうかぞめ)」、絵を描くように何種類もの刷毛を使って染めていく「引染め」、色ごとに型を置いて生地に色糊を染付ける「手捺染」があります。伊藤染工場は、「伝統の染」による仕上がりにこだわり、日本人のなじみの深い布製品に染み込んだ染物の伝統を、感性豊かな若い職人に繋げております。大切にしたいのは「日本人の心」。私たちが手にして染め上げたものが、ご依頼いただいた方の心が染み込んだ染物として、お届け主へお手にとっていただけるようにと。
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硫化染め(硫化浸染)
60℃~70℃の染料溶液に5分浸けて染め上げます。染めた後ゆっくりと上げて、染色ムラをおこさないように、すばやく生地を広げて空気酸化します。染料溶液は酸化すると色が鮮やかになります。硫化染めには大切な工程です。硫化染めの濃い色と白く抜かれた生地の鮮明さは、職人の絶妙なタイミングが活かされます。
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引染め
刷毛に染料を染み込ませて布を染めます。旗やのぼりのように、大きな刷毛を使って一気に1色に染め上げる方法と、大漁旗のように色ごとに刷毛を使い分け細かなデザインで色鮮やかに仕上げる染め方があります。
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手捺染
手ぬぐいや、袢纏などに使われる染め方で、カッティングした型紙を型枠に貼り、染料を流しこんで型枠の上をスキージ(昨日ヘラ)を使い染めていきます。多色染めの場合は、色ごとに型を作り、色ごとにスキージングして染めます。
-洗う-
染めものを綺麗に仕上げるために、大切な工程のひとつが「洗う」ことです。伊藤染工場では、余分な染料を落とすために、何度も何度も洗います。工場内に昔からある小さな川もまた大切な洗い場です。水の中から、色鮮やかに染め上がった反物が浮かび上がったときは心が引き込まれます。布を傷めないように専用のブラシを使って丁寧に染料を落とし、更に自動洗濯機で水洗いします。
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流水で洗う
不要になった糊置きした糊を落としたり、余分な染料を洗い流します。
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自動水洗機もつかって
お客様のお手元に届いたときの布の手触りを大切に思い、残った染料を何度も何度も洗い流します。
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ブラシで丁寧に洗う
更にブラシでこすりながら、糊を丁寧に落とします。糊があった部分は色が付かず、白色ラインが浮かび上がります。
-乾燥・仕上げ-
天気のいいときは、天日干しにして、太陽の暖かさと自然の風を当て染め上がった布も気持ちよさそうです。天候の悪いときや、急ぎの場合は室内乾燥もします。
乾燥させるときは、張手(張木)で反物を引っ張り、シワを伸ばすようにして乾かします。それぞれの製品に合わせて、縫製して完成です。